七月王政期の政治経済学--連帯の哲学(014)

 

七月王政期の政治経済学の特徴
 この時期の政治経済学はセイなどの思想を受け継いで、次の四つの特徴をもつ。
一)当時の社会は、「産業の自由による「進歩」「文明化」が実現しつつある状況と評価する。社会問題は文明化の一般傾向の例外にすぎないとされる。貧困や不平等は、同業組合の残存などで産業の自由が阻害されたために生まれるものにすぎない。


二)不平等と階層化の進展は、産業の進歩を阻害するのではなく、その進歩に不可欠である(田中拓道『貧困と共和国』106)。


三)貧困問題は、普遍的権利にかかわる問題ではなく、貧民の個人的な盛られるにかかわる問題である(同)。


四)社会問題への対策は、貧民のモラルに働きかけ、自己規律や自己責任の感覚を内面化させることにある。