テリー・イーグルトン著作リスト--現代の思想家(012)
イギリスの批評家のテリー・イーグルトン。マルクス主義を奉じているにもかかわらず、あるいはそのために、日本ではとても好まれていて、ほとんどが翻訳されています。
テリー・イーグルトン
テリー・イーグルトン(Terry Eagleton、1943年2月22日 - )は、イングランド・サルフォード出身の文芸批評家、哲学者。
経歴
24歳のときにケンブリッジ大学トリニティー・カレッジで博士号を取得。その後オックスフォード大学のウォドム・カレッジ、リネカー・カレッジ、セント・キャサリンズ・カレッジなどで学んでいる。現在はマンチェスター大学で文化論の教授とジョン・ライランズ・フェローの研究員をしている。
イーグルトンはマルクス主義の文芸批評家レイモンド・ウィリアムズに師事し、19世紀の文学および20世紀の文学についてマルクス主義的な研究をしている。最近では研究の方法をより伝統的な文学論に接近させている。1960年代にケンブリッジ大学の急進的カトリック集団「Slant(傾斜)」に関わり、Towards a New Left Theology(『新左翼神学論』)に収められている数多くの記事を寄稿した。彼の最新の刊行物では神学的問題への新しい関心を示している。また精神分析学にも影響を受けており、スラヴォイ・ジジェクを学問的に支持している。
『文学とは何か』(An Introduction, 1983年)では、19世紀ロマン主義から最近のポストモダニズムまでの文献をマルクス主義的に研究し、脱構築主義などの流行学説を批判している。また彼は学問上だけでなく政治上もマルクス主義を標榜している。オックスフォード時代には、アラン・ソーネットらの労働者社会主義同盟(WSL, Workers' Socialist League)に加わるなど、マルクス主義活動に熱心であり、New Statesmanや、Red Pepper、『ガーディアン』などの雑誌・新聞に政治時事評論を寄稿していた。
『アフター・セオリー』(2003年)において、現代文化と現代文学の学際研究について論じ、その品質低下を指摘している。イーグルトンはこの分野 における学際的研究の有用性を認めないわけではなく、包括的な研究がおこなわれていないとした。現代神学やポストモダニズムの研究は絶対的な価値について 語られていないことを指摘し、絶対的な価値の実在を主張した。われわれが自主的に選ぶことが出来ず、自主的に離脱することが出来ない(自殺をのぞけば)肉 体に生きなくてはいけないことから、肉体とその死滅に人間生活の絶対的価値を主張している。一方で、イーグルトンはアイルランド文化についての三部作的著作を完成させている。
『文学とは何か』における記述は筒井康隆の『文学部唯野教授』の下敷きになったと言われている。
著書
単著
- The New Left Church, (Sheed & Ward, 1966).
- Shakespeare and Society: Critical Studies in Shakespearean Drama, (Chatto & Windus, 1967).
- Exiles and Emigres: Studies in Modern Literature, (Chatto & Windus, 1970).
- Myths of Power: A Marxist Study of the Brontes, (Macmillan, 1975, 2nd ed., 1988).
- Criticism and Ideology: A Study in Marxist Literary Theory, (NLB, 1976).
- Marxism and Literary Criticism, (University of California Press, 1976).
- 有泉学宙ほか訳『マルクス主義と文芸批評』(国書刊行会, 1987年)
- Walter Benjamin, or, Towards a Revolutionary Criticism, (Verso, 1981).
- The Rape of Clarissa: Writing, Sexuality, and Class Struggle in Samuel Richardson, (Blackwell, 1982).
- Literary Theory: An Introduction, (Blackwell, 1983, 2nd ed., 1996 3rd ed., 2008).
- The Function of Criticism: from the Spectator to Post-Structuralism, (Verso, 1984).
- William Shakespeare, (Blackwell, 1986).
- Against the Grain: Essays, 1975-1985, (Verso, 1986).
- Saints and Scholars, (Verso, 1987).
- 鈴木聡訳『聖人と学者の国』(平凡社, 1989年)
- Saint Oscar, (Field Day, 1989).
- The Significance of Theory, (Blackwell, 1990).
- The Ideology of the Aesthetic, (Blackwell, 1990).
- Ideology: An Introduction, (Verso, 1991).
- Heathcliff and the Great Hunger: Studies in Irish Culture, (Verso, 1995).
- The Illusions of Postmodernism, (Blackwell, 1996).
- Marx and Freedom, (Phoenix, 1997).
- Crazy John and the Bishop and other Essays on Irish Culture, (Cork University Press, 1998).
- Marx, (Routledge, 1999).
- Scholars and Rebels in Nineteenth-century Ireland, (Blackwell, 1999).
- The Truth about the Irish, (New Island Books, 1999).
- The Idea of Culture, (Blackwell, 2000).
- The Gatekeeper: A Memoir, (Allen Lane, 2001).
- After Theory, (Basic Books, 2003).
- Figures of Dissent: Critical Essays on Fish, Spivak, Zizek and Others, (Verso, 2003).
- Sweet Violence: the Idea of the Tragic, (Blackwell, 2003).
- 森田典正訳『甘美なる暴力――悲劇の思想』(大月書店, 2004年)
- Holy Terror, (Oxford University Press, 2005).
- The English Novel, (Blackwell, 2005).
- How to Read a Poem , (Wiley-Blackwell, 2006).
- The Meaning of Life, (Oxford University Press, 2007/A Very Short Introduction(OUP), 2008).
- On Evil , (Yale University Press, 2010).
- Reason, Faith, and Revolution: Reflections on the God Debate (The Terry Lectures Series), (Yale University Press, 2009)
共著
- Nationalism, Colonialism, and Literature, with Fredric Jameson and Edward W. Said, (University of Minnesota Press, 1990).
編著
- Raymond Williams: Critical Perspectives, (Polity Press, 1989).
- Ideology, (Longman, 1994).
- Marxist Literary Theory: A Reader, (Blackwell, 1996).
1 | 図書資料 | アフター・セオリー-ポスト・モダニズムを超えて- | テリー・イーグルトン/著 小林章夫/訳 | 筑摩書房 | 2005 |
2 | 図書資料 | アメリカ的、イギリス的(河出ブックス 071) | テリー・イーグルトン/著 大橋洋一/訳 吉岡範武/訳 | 河出書房新社 | 2014 |
3 | 図書資料 | イデオロギーとは何か | テリー・イーグルトン/著 大橋洋一/訳 | 平凡社 | 1996 |
4 | 図書資料 | 学者と反逆者-19世紀アイルランド-(松柏社叢書 言語科学の冒険 21) | テリー・イーグルトン/著 大橋洋一/訳 梶原克教/訳 | 松柏社 | 2008 |
5 | 図書資料 | クラリッサの凌辱-エクリチュール,セクシュアリティー,階級闘争- | T.イーグルトン/著 大橋洋一/訳 | 岩波書店 | 1987 |
6 | 図書資料 | ゲートキーパー-イーグルトン半生を語る- | テリー・イーグルトン/著 滝沢正彦/訳 滝沢みち子/訳 | 大月書店 | 2004 |
7 | 図書資料 | シェイクスピア-言語・欲望・貨幣- | テリー・イーグルトン/著 大橋洋一/訳 | 平凡社 | 1992 |
8 | 図書資料 | 宗教とは何か | テリー・イーグルトン/著 大橋洋一/訳 小林久美子/訳 | 青土社 | 2010 |
9 | 図書資料 | 人生の意味とは何か(フィギュール彩 1) | T.イーグルトン/著 有泉学宙/〔ほか〕訳 高橋公雄/〔ほか〕訳 | 彩流社 | 2013 |
10 | 図書資料 | 新文学入門-T・イーグルトン『文学とは何か』を読む-(岩波セミナーブックス 55 | 大橋洋一/著 | 岩波書店 | 1995 |
11 | 図書資料 | 聖人と学者の国 | テリー・イーグルトン/著 鈴木聡/訳 | 平凡社 | 1989 |
12 | 図書資料 | テリー・イーグルトンのブロンテ三姉妹 | テリー・イーグルトン/著 大橋洋一/訳 | 晶文社 | 1990 |
13 | 図書資料 | テロリズム聖なる恐怖 | テリー・イーグルトン/〔著〕 大橋洋一/訳 | 岩波書店 | 2011 |
14 | 図書資料 | なぜマルクスは正しかったのか | テリー・イーグルトン/著 松本潤一郎/訳 | 河出書房新社 | 2011 |
15 | 図書資料 | 反逆の群像-批評とは何か- | テリー・イーグルトン/著 大橋洋一/ほか訳 小澤英実/ほか訳 | 青土社 | 2008 |
16 | 図書資料 | 美のイデオロギー | テリー・イーグルトン/著 鈴木聡/〔ほか〕訳 | 紀伊国屋書店 | 1996 |
17 | 図書資料 | 批評とは何か-イーグルトン、すべてを語る- | テリー・イーグルトン/著 マシュー・ボーモント/著 大橋洋一/訳 | 青土社 | 2012 |
18 | 図書資料 | 批評の機能-ポストモダンの地平- | テリー・イーグルトン/〔著〕 大橋洋一/訳 | 紀伊国屋書店 | 1988 |
19 | 図書資料 | 批評の政治学-マルクス主義とポストモダン-(テオリア叢書) | テリー・イーグルトン/著 大橋洋一/〔ほか〕訳 | 平凡社 | 1986 |
20 | 図書資料 | 表象のアイルランド | テリー・イーグルトン/著 鈴木聡/訳 | 紀伊国屋書店 | 1997 |
21 | 図書資料 | 文学とは何か-現代批評理論への招待- | T.イーグルトン/著 大橋洋一/訳 | 岩波書店 | 1985 |
22 | 図書資料 | 文学とは何か-現代批評理論への招待-新版 | T.イーグルトン/著 大橋洋一/訳 | 岩波書店 | 1997 |
23 | 文庫本 | 文学とは何か-現代批評理論への招待-上(岩波文庫 37-204-1) | テリー・イーグルトン/著 大橋洋一/訳 | 岩波書店 | 2014 |
24 | 文庫本 | 文学とは何か-現代批評理論への招待-下(岩波文庫 37-204-2) | テリー・イーグルトン/著 大橋洋一/訳 | 岩波書店 | 2014 |
25 | 図書資料 | 文化とは何か(松柏社叢書 言語科学の冒険 20) | テリー・イーグルトン/著 大橋洋一/訳 | 松柏社 | 2006 |
26 | 図書資料 | 文芸批評とイデオロギー-マルクス主義文学理論のために-(岩波現代選書 40) | T.イーグルトン/著 高田康成/訳 | 岩波書店 | 1980 |
27 | 図書資料 | ポストモダニズムの幻想 | テリー・イーグルトン/著 森田典正/訳 | 大月書店 | 1998 |
28 | 図書資料 | 民族主義・植民地主義と文学(叢書・ウニベルシタス 516) | T.イーグルトン/〔ほか著〕 増淵正史/〔ほか〕訳 | 法政大学出版局 | 1996 |
29 | 図書資料 | 理論の意味作用(叢書・ウニベルシタス 576) | テリー・イーグルトン/〔著〕 山形和美/訳 | 法政大学出版局 | 1997 |