ロックの意見概念--連帯の哲学(006)

■ロックの意見概念
 ロックは「意見の法」に、「神の法」や「国家の法」とならぶ地位を与えた。これは「哲学的法則」(ハーバーマス『公共性の構造転換』旧版、p.130)という意味をもつものである。これは民間の風習を組織化したものであり、「その間接的な社会的統制力は、教会や国家の生産の威力のもとでの公式的な検閲よりも有効である」(p.131)。

 ただしこれは公論の法ではない。その意見は「公共の討論の中で成立するものではなく、それはむしろひそかな同意によって、その拘束力をえるのである」(同)。またそれは国家の法に適用されるものでもない。それは「法律を作る権威のない私人たちの合意に基づくものだからである」(同)。

 さらに意見は公論のように、教養(と財産)という前提条件に制約されせていない。意見に参加するために必要なことは議論に加わることではない。意見とは、後に偏見として公論が批判的に対決するようになる〈習慣〉の素朴な表明にすぎないのである」(同)。このようにして意見が公論が分離されることで、それが「法」としての性格を帯びることに注目しよう。