菊谷和宏「「社会」の誕生-トクヴィル、デュルケーム、ベルクソンの社会思想史」(9/18)

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書名 「社会」の誕生-トクヴィルデュルケームベルクソンの社会思想史-
著者名 菊谷和宏/著
出版社 東京 講談社
出版年月 2011.8
価格 1500円
ページ数 212p
大きさ 19cm
シリーズ名 講談社選書メチエ 506
ISBN 9784062585088
件名 社会学-歴史 Tocqueville,Alexis Charles Henri Maurice Cl〓rel Durkheim,Emile Bergson,Henri
NDC9 361.235
NDC8 361.235
注記 文献:p197~199 年表:p207~212
抄録 神という超越性に包摂された世界から、社会という観念が切り離されたとき、「社会科学」が生まれた…。19世紀フランスに生まれたトクヴィルデュルケームベルクソンの思想史を、ひとつの流れとして読み解く。
著者紹介 〈菊谷和宏〉1969年愛知県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。和歌山大学経済学部教授。日仏社会学会理事。著書に「トクヴィルデュルケーム」など。

内容説明

神という超越性に包摂された世界から、社会という観念が切り離されたとき、「社会科学」が生まれた。19世紀フランスに生まれたトクヴィルデュルケームベルクソンという三者を、ひとつの流れとして読み解く、これまでにない「ユニーク」な思想史。

目次

序 分解する現代社会―「社会」という表象
第1章 トクヴィル:懐疑(超越性に包含された世界と人間―二月革命以前;世俗世界の分離、「社会それ自体」の出現―二月革命 ほか)
第2章 デュルケーム:格闘(実証科学としての社会学の創造―物としての社会的事実;歴史的背景―第三共和制初期 ほか)
第3章 ベルクソン:開展(意識、持続、自由;生命一般と物質一般、生命の原理としての創造的自由 ほか)
終章 誕生した社会:絡繰―相互創造の網と人間的超越性

 

【読後評】★★★☆☆

議論の筋は明快で妥当なものだと思う。ただし三人の思想家の該当部分を引用したにとどまり、すこしばらばらな記述のように思う。むしろ今のままでは少し脱線している二つの補足部分「身体のユニークネス、社会的事実の地盤」と「自己意識のユニークネス、わたしの持続と身体という物質」を拡充して、そこからデュルケームベルクソンの社会の概念の相互的な結びつきを展開して、トクヴィルの先駆性を照らし出すようにしたら、もっと内的な筋道がでたのではないか。