書名 | 土星とメランコリー-自然哲学、宗教、芸術の歴史における研究- |
---|---|
著者名 | レイモンド・クリバンスキー/〔ほか〕著 榎本武文/〔ほか〕訳 |
出版社 | 東京 晶文社 |
出版年月 | 1991.4 |
価格 | 9515円 |
ページ数 | 605,69p 図版84p |
大きさ | 23cm |
原書名 | Saturn and melancholy |
ISBN | 4-7949-2386-4 |
NDC9 | 104 |
NDC8 | 104 |
注記 | 監訳:田中英道 |
内容説明
メランコリー。人間の体内に存在する四つの体液の一つである黒胆汁によってもたらされ、土星の 下に生まれたものの運命であるとされる。そして、それは人間を憂鬱におとしいれ、その意識を鈍磨させるとされた。古代ギリシアに淵源するこの体系は、西欧 の自然哲学、医学・宗教、芸術の根幹に脈々と流れ、それらに大きな影響を及ぼし続けた。ピタゴラス学派、アリストテレスから、中世アラビアの占星術師、ル ネサンスのネオプラトニストを経て、北方ルネサンスの巨匠デューラーに至るまで、この体系の起源と展開を精細にあとづけ、近代思想によって駆逐されたかに 見える、破壊的なまでに洞察力にみちた人間観を発掘、まさにヴァーブルク学派の代表的成果というにふさわしい大著。
目次
第1部 メランコリーの概念と歴史的発展(古代生理学におけるメランコリー;中世の医学、科学、哲学におけるメランコリー)
第2部 土星・メランコリーの星(文学的伝統における土星‐サトゥルヌス;図像的伝統における土星‐サトゥルヌス)
第3部 「詩的メランコリー」と「高邁なるメランコリア」(中世以後の詩歌における「詩的メランコリー」;「高邁なるメランコリア」)
第4部 デューラー(コンラート・ツェルテスにおけるメランコリー;銅版画『メレンコリア1』;『メレンコリア1』の芸術的な遺産)
【読後評】★★★★★
すばらしい。豊潤なワインを味わったのちのような豊かな後味。デューラーの絵の細部まで思想的な背景とともに理解できる。しかし何とぜいたくな時間の使い方だろう。これをもっと別の分野に向けていれば……。