書名 心的外傷と回復
著者名 ジュディス・L・ハーマン/〔著〕 中井久夫/訳
出版社 東京 みすず書房
出版年月 1996.12
価格 6600円
ページ数 400,50p
大きさ 22cm
原書名 Trauma and recovery
ISBN 4-622-03957-5
件名 精神医学 ストレス 精神療法
NDC9 493.7
NDC8 493.7
注記 解説:小西聖子
抄録 レイプ、児童虐待、ホロコースト、家庭内暴力、戦闘参加帰還兵など、具体的な様々な症例を通して、トラウマの諸相とその治療のあり方を描く。心の傷とその癒しに関する研究の進むアメリカにおいて、最も代表的な著作とされている。
目次
謝辞/序
第一部 心的外傷障害
第一章 歴史は心的外傷をくり返し忘れてきた
ヒステリー研究の英雄時代/戦争(外傷)神経症/性戦争の戦闘神経症
第二章 恐怖
過覚醒/侵入/狭窄/外傷の弁証法
第三章 離断
損なわれた自己/易損性と復元性/社会的支援の効果/社会の役割
第四章 監禁状態
心理学的支配/全面降伏/慢性外傷症候群
第五章 児童虐待
虐待的環境とは/ダブルシンク/二重の自己(ダブル・セルフ)/身体への攻撃/子どもが成人すると
第六章 新しい診断名を提案する
誤ったレッテル貼りとなる診断/新概念が必要となった/精神科患者としての被害経験者
第二部 回復の諸段階
第七章 治癒的関係とは
外傷性転移/外傷性逆転移/治療契約/治療者へのサポート・システム
第八章 安全
問題に名を与える/自己統制の回復/安全な環境を創る/第一段階を完了するには
第九章 想起と服喪追悼
ストーリーを再構成する/外傷性記憶を変貌させる/外傷性喪失を服喪追悼する
第十章 再結合
たたかうことを学ぶ/自分自身と和解する/他者と再結合する/生存者使命を発見する/外傷を解消させる
第十一章 共世界
安全のためのグループ/想起と服喪追悼のためのグループ/再結合のためのグループ
付 外傷の弁証法は続いている
解説(小西聖子)/訳語ノート/訳者あとがき/原注/人名索引/事項索引
【寸評】★★★★
ホロコーストから児童虐待にいたるまで、トラウマがどのような力をもっているかをまざまざと示す。多くの実例が参考になる。必読書かも。みすずによると増補版というのがでているらしい。「本書は、現下の問題への提起を書き下ろした一章「外傷の弁証法は続いている」を加えた増補版である。「心的外傷」という主題は、すべての〈私〉の問題であり〈あなた〉の問題であり〈私たち〉の問題である。この国の多くの人に読み継がれることを願い、新たに世に送る。」