木村敏『異常の構造』(10/24)
書名 | 異常の構造 |
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著者名 | 木村敏/著者 |
出版社 | 東京 講談社 |
出版年月 | 1991 |
価格 | 580円 |
ページ数 | 182 |
大きさ | 18 |
シリーズ名 | 講談社現代新書 331 |
ISBN | 4-06-115731-0 |
NDC9 | 493.7 |
【寸評】★★★☆☆
1=1が成立しないという世界図式で精神分裂症を説明しようとするのは、無謀である。しかし多数の症例と最後の総括でどうにか本は成立している。『木村敏著作集 6』にも収録されているので、木村のそれなりの自信作なのだろう。
木村の分裂症の位置づけは、「分裂病者とはもともとひと一倍すぐれた共感能力の所持者で、そのために知的で合理的な操作による偽自己の確立に失敗して分裂症におちいることになったのだ」(176)というものである。
総括として「常識的日常性の立場が、生への執着という「原罪」から由来する虚構であって、分裂病という精神の異常を「治療」しようとする私たちの努力は、私たち「正常者」の側の自分勝手な論理にもとづいている」(180)。
これが結論である。